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カテゴリ: リレー
夏の思い出
お疲れさまです。
前回のT.Sさんからのブログバトンと言うことで、M.Sが書かせていただきます。
毎年7月末になると、思い出すことがあります。それは、数十年前の大学のサークルで参加した“鳥人間コンテスト”です。鳥人間コンテストとは、人間の筋力のみを動力源とし飛行する飛行機である人力飛行機で、“航続距離”もしくは“速さ”を争う、テレビ局主催の競技です。それが毎年7月最後の土日に、琵琶湖で開催されます(放送は8月末ごろ)。
今回のブログは、鳥人間コンテスに参加した大学の思い出と、ちょっとした裏話を書かせていただきます。半分は人力飛行機をやりたいがために、母校の大学に入学したようなもので、入学早々に人力飛行機サークルに入り、人力飛行機漬けの毎日でした。
※大学内滑走路での試験飛行
鳥人間コンテス参加のための人力飛行機の製作は、基本的に大学の講義が終わった18:00~21:00ぐらいまで行い、休日は朝から夜まで行いました。また、人力飛行機の製作資金は、活動自体はサークルなので大学からの資金援助はほとんどありません。そのため基本自分達で資金を集めます。人力飛行機1機の大体の製作費は100万円以上になるため、1年生(製作のメインは3年生) から製作資金として積み立てを始めます。そのため毎月数万円(製作中の機体用と積立て分)を徴収されました。ただ、大学生では当たり前の長時間バイトは、サークル活動があるためできませんでした。そのため、昼や夕方に行える大学内の食堂や図書館でのバイトを行って、人力飛行機の製作のための資金に当てていました。
人力飛行機の製作が終わればそれで終了ではなく、実際に飛ばして問題を改善していきます。大学内に1kmの滑走路(正式には交通試験路)がありましたので、大学内で試験飛行が行えました(他大学は小さな飛行場や広い場所などを借りていました)。関東圏内で滑走路がある大学は珍しく、大学から優先的に使用させてもらえたので、資金面の援助はありませんでしたが、作業場や格納場所などの施設利用の優遇は大変助かりました。
試験飛行は、比較的風が安定し人通りのない明け方に行うため、まだ暗い午前4時ごろに大学に集り、夜明けから7時ぐらいまで試験飛行を繰り返します。余談になりますが、サークル内では4時に集合と言うと、冗談ではなく本当に午前4時に集合なので、6時集合と言う連絡があった場合に“午前6時か午後6時のどっちだ?”と冗談とも本気とも取れる確認はお約束でした。
※朝もやの中 機体準備中
試験飛行が終わると後は、本番の琵琶湖になります。人力飛行機は翼の長さが約30mあるのでそのままでは運べません。そのため、3mぐらいずつに分解してトラックに積み込めるようになっています。
※分解してトラックに積み込み中
鳥人間コンテスト前日に機体の審査があるので、7月の最終水曜日の夕方(木曜日に着くため)に関東から琵琶湖のある滋賀県に出発します。約6時間かけて琵琶湖に近づくと、それらしいトラックが続々集まっています。通常では、それほど人が集まる場所では無いのですが、7月末の数日間だけは琵琶湖の一部に日本中から人が集まります。そして鳥人間コンテスト本番、テレビ番組のためどうしても飛行順番と時間制限があります。風がない無風状態が一番良いのですが、スタートの旗が上がると、どんな状況でも飛びださないと行けません。一度プラットホーム(湖上の台)から飛び出してしまえば、後はパイロットに委ねるしかなく、良くも悪くも大学生活3年間の結果が出ます。
数十年前、スタートの旗が上がった後、 私達の人力飛行機がプラットホームから落ちるのではなく、飛び上がっていく後ろ姿を、今でも鮮明に覚えています。その時の結果は、約5km飛んで総合3位になることができました。
※琵琶湖上を飛行中
このブログが載る頃には、後輩達の機体は琵琶湖に飛び立っているはずです。私の時代、鳥人間コンテストの目標は“目指せ対岸”でしたが、現在は対岸から折り返すまでになっています。今考えれば、試験飛行後に睡魔と戦いながら講義を受けたり、サークル活動後にレポート作成のため徹夜したり、長期の休みは取れないので旅行と言えば琵琶湖に行くだけなど、一般的な自由な大学生とはほど遠い大学生活でした。鳥人間コンテストのある7月末は中間試験と重なりますので、よく留年せずに大学を卒業できたと思います。ただ、もし1度だけ過去に戻れるとしたら、大変だったけど“あのサークル”で“あのメンバー”で、もう一度“鳥人間コンテスト”に参加したい。今度は対岸まで飛ばしたと思うほどの充実した大学生活でした。
8月末ごろに、テレビで“鳥人間コンテスト”が放送されると思いますので、もし目にすることがありましたら、参加者達の思いを感じていただければと思います。
以上です。
次回は、T.S.さんにお願いしたいと思います。
M.Sugiyama