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淡い炎に魅せられて・・・
私の大先輩T.O.さんから笑顔のバトンを受け取りましたTです。以前のブログで自転車仲間のK.S.氏が「荒川ライド」で荒川サイクリングロードの上流をご案内しましたがその続編で「下流」をご案内しようと仲間2名にも話していました。しかしこのところの毎週末の雨天のため断念に至りました。「晴走雨備・・」ということで今回はキャンプ道具について少し語らせていただきます。
今年はシッカリとした梅雨が続いていますが、梅雨が明けると本格的なキャンプのシーズン到来です。そろそろキャンプ道具のメンテをしなければ・・・キャンプの夜に不可欠な道具といえばランタンですね、この淡い光を見ながら飲むお酒は最高ですね~
このランタンは30年ほど前、とあるキャンプ場のゴミ置き場に捨てられていたススで真っ黒になったヤツを私が救出したものです。磨いてみれば新品同様の輝きではないですか!この頃、ちょうど第一次キャンプブームでホームセンターなどにイッキにキャンプ道具が出た頃でした。コイツは本来の燃料「ケロシン(白灯油)」なのですがおそらくホワイトガソリン(白ガス)を入れて点火されちゃったのでしょう。きっとモノスゴい火柱が上がった事と想像されます・・そのままキャンプファイアーをやったとか??(※良い子の皆さんは絶対にマネしないでね!)今のようにインターネット検索もできず、専門誌もまだまだ少ない情報の少ない頃の出来事でした。
キャンプをされる方、お手軽なLEDランタンも良いですが是非こんな灯油ランタンも使ってみてください。構造が単純なので壊れようが無く非常にタフな奴でコイツが醸し出す雰囲気は絶対にハマります。きっと新たな世界見えると思いますよぉ~!!
・・・これで終わってしまっては・・・ですよね、ハイ、さらにディープなお話をさせていただきます~。先のランタン(DIETZデイツ社のNo.30)はマッチでもライターでも火をつければロウソクのように灯く「ハリケーンランタン」と呼ばれるタイプで明るさ抑えめの優しい明かりです。これとは別に燃料に圧力を加え強制的に噴射→燃焼させパワー(明るさ)を稼ぐ「加圧式ランタン」というものもあります。この加圧式ランタン、燃料は様々でLPガス(すでに加圧されていますね)、ホワイトガソリン、自動車用ガソリン(赤ガス)、アルコール、そしてケロシン(白灯油)等々。
そんな中私はケロシン(白灯油)を使っています。ケロシンを選んだ理由は、①他の燃料と比較して安価である、②比較的入手しやすい、③引火点が高いため保管・持ち運びの安全性が高いといった点です。こんな姿をしています↓(ペトロマックスNo.829 500CP)
点火前にはしっかりメンテが必要です。主要部の清掃と接続部の増し締めです。これを怠ると使用中に燃料漏れや不完全燃焼を起こしてしまいます。特にマントル(白く丸いランタンの心臓部)接続部分は燃焼時に非常な高温になった後、消灯時には一気に冷えるため金属の膨張によりグラグラに緩んでしまいます。マントルは最初シルク生地のように柔らかいものですが一度燃焼すると堅い風船のようになります(この過程は割愛させていただきます)。とても「もろい」のですが割れない限り使い続けることができます。また、マントル取り付け部の手前には燃調(噴射された燃料の濃さと空気の割合を調合する)弁があり開閉具合で燃焼時の色温度が変化します。
先にケロシンのメリットをお話ししましたが、しかぁ~し、世の中良い事ずくめなんてことは無いのですね・・・引火点が高い=灯きにくいということでこの加圧式ケロシンタイプには「プレヒート」という「儀式」が必要なのです。ケロシンが沸騰し気化する状態になるまで熱を加えなければいけません。このランタンは夏場で1分半、冬場で3分位のプレヒートを行うのですがこれが一苦労!!脇についているポンプでひたすらタンクに空気を入れ続けます。プレヒート時には大量の燃料を噴射するのでポンピングした空気もすぐに抜けてしまいます。手を抜くとプレヒータの火が消え・・最初からやりなおーし!!だんだん腕に乳酸が溜まり。。汗もダクダク~でも頑張ります!(撮影のためいつもより余計にポンプして余圧でパシャッ)。ちなみにガスやホワイトガソリンタイプは引火点が低いためこの過程が不要で一瞬で点灯します。
無事点火です。ほっと一息・・なかなか手間がかかるヤツですが一度灯いてしまえばあとは時々ポンピングをしてあげることで燃料が無くなるまで灯いています。燃料は1Lで約8時間燃焼します。ちなみに先のハリケーンランタン、デイツNo.30は0.5Lで約24時間燃焼です。
ケロシン加圧式の仕組ですが本来引火点の低いケロシンをプレヒートで燃焼→沸騰→気化させることで点火しあとは自分の熱で沸騰→気化→燃焼を続けます。燃料を沸騰させるためにバーコレート機構が燃料噴射部の手前に付いています。100年以上前からこの機構は変わっていないのです。まだLPガスや純度の高いガソリンが無いころに昔の人は良く考えたものですね~
ハリケーンランタンと比べるとかなり明るいです。夕飯の準備→食事→片付けまではこのランタンですね。そして夜も更け周囲が静かになったころハリケーンランタンへ・・・ちなみにこの加圧式ペトロマックスは500CP(CPはキャンドルパワーの略で1CP=ろうそく一本分、白熱球に換算すると約400W)、ハリケーンランタン(デイツNO.30)は約10Wになります。
時間に追われることなく、日ごろ当たり前の便利な生活から離れて明かりを灯ける、火を点けるだけでも一苦労という手間のかかることもキャンプの醍醐味かな~と思って楽しんでいます。翌日は当然、筋肉痛です。。あっ、もしこんな面倒なキャンプでも興味のある方いらっしゃれば是非参加してくださいねっ!(笑)
今回はランタンについて語らせていただきましたが「ケロシン加圧式」の道具はランタンのほかストーブ(コンロ)やヒータ、トーチ(バーナー)などいろいろあるので機会がありましたら他の紹介もしたいと思います(この中に約100年前の器具もあります)。
長らくお付き合いありがとうございました。
次はまたまた大先輩「Mr.企業」でありますT.Y.さんにバトンを渡したいと思います。
A.Tokumitsu