カテゴリ: リレー
ディストピアにようこそ
ブログをご覧の皆さまこんにちは。
大阪支店のIさんからバトンを受け取りました、神奈川支店のYです。
ぼくが東通産業に入社して、まもなく5ヶ月ほど。このブログのことは入社前に目を通していたため知っていましたが、まさかこれほど早く自分の順番が回ってくるとは…!
とはいえその間、Iさんが経験されたような劇的な体験があったわけでもなく。お題など特にないフリーテーマとのことですので、無難に最近読んで面白かった小説を紹介することにします。
1984年(原題:Nineteen Eighty-Four)
著者:ジョージ・オーウェル
出版:1949年
7年ぶりの再読です。ぼくは幼少期に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作を見てからというもの、今に至るまでずっとSF好きなのですが、その中でも“暗黒の未来”ものなんて言われたりする「ディストピア」というサブジャンルがとりわけ好みです。(上述したBTTFの二部作目にも少しそんな要素がありますね)
そんなディストピアSF作品の中でも「1984年」は後の文化に小さくない影響を及ぼしたと言われる傑作で、その筋ではとても有名な作品でもあります。大枠の内容としては、核によって荒廃した第三次世界大戦後の近未来世界を舞台に、徹底した管理社会を築き、全体主義を推し進める政府と、そんな体制に疑問を持ってしまった男の抵抗と苦悩が描かれます。
「戦争は平和なり」、「自由は隷従なり」、「無知は力なり」と謳い、政府が国家間の戦争から個人の感情、果ては生殖までコントロールする手法(政策)が緻密に描写される本作。
中でもぼくの印象に残ったのは、作中で「ニュースピーク」と呼ばれる政策です。これは、「ある概念を表現する言葉が存在しないものは、そもそも思い付きようがない」という考えに基づき、「単語や文法を整理・削減した新しい言語(ニュースピーク)を国民に浸透させることにより、国民に意識させず政府にとって都合の悪い思考を排除する」というものです。
それは確かにとリアリティを感じさせる手法であり、どこかメッセージアプリやSNSの普及によって、短文でのコミュニケーション機会が増えた現代の我々にも通ずるところがあるのではと考えさせられます。
他にも「最近、現実にそんな話を聞いたことがあるような…」というような内容がチラホラと。この小説を1940年代に書いた作者の先見性と想像力には脱帽です。
全編に渡って暗く、閉塞的なトーン。衝撃的な結末もあり、決して娯楽的とは言い難い物語なので好みが別れると思いますが、色々と考えさせられ、印象に残る作品であることは間違いないと思います。
この夏、読む本を探しているという方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
それでは、ぼくからは4月に入社したIさんにバトンを繋ぎます。
Iさん、よろしくお願いします。